【例文付き】大学院生の就活:研究内容で差をつける書き方を徹底解説

研究内容の書き方について解説している記事のアイキャッチ画像です。

就職活動のなかでも、自身の研究内容を応募書類にまとめ、企業の採用担当者に効果的に伝えることは、非常に骨の折れる作業ですよね。専門的な知識をわかりやすく説明するだけでなく、それが企業にどう貢献できるのかを示す必要があるため、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな皆さんの悩みに寄り添い、研究内容を魅力的にアピールするための具体的な方法を、例文を交えながら解説します。

この記事を読むことで、就職活動のための研究内容の書き方をマスターすることができます。

この記事の信頼性
筆者の就活体験をもとに研究内容の書き方について徹底

この記事を書いた人
はやとん

<プロフィール>

✔2024年修士卒

学会発表2回、原著論文投稿2本

✔早期選考で国内大手企業複数内定

✔現在、国内大手企業で勤務中

研究実績により奨学金半額免除

目次

研究内容をアピールする重要性

大学院生の就職活動において、学部生と大きく異なるのは、専門的な知識や研究スキルを持っている点です。企業は、大学院生を採用することで、高度な問題解決能力や、新しい価値を生み出す力を期待しています。そのため、自身の研究内容を具体的に示し、それが企業にどう貢献できるのかをアピールすることが重要になります。

ただし、研究内容を伝える上で、結果そのものだけでなく、面接官に「伝わる」かどうかという点も非常に重要です。どれだけ素晴らしい研究成果を上げていても、それが相手に伝わらなければ、評価にはつながりません。 自身の研究内容を、相手の立場に立って、わかりやすく説明する能力も、企業は評価しています。

企業が見ているポイント

企業が大学院生の研究内容を見ているポイントは、以下の通りです。

  • 専門性:研究テーマの専門性、深さ
  • 論理的思考力:研究のプロセス、考察の論理性
  • 問題解決能力:課題発見、分析、解決策を見出す力
  • 探求心・向上心:未知の領域に挑戦する意欲
  • プレゼンテーション能力:研究内容をわかりやすく伝える力
  • 職務との関連性:研究内容が、応募する職種でどのように活かせるか

これらの要素を意識して、自身の研究内容をアピールしましょう。ただし、研究内容と就職する職種が必ずしも一致するとは限りません。企業は、研究内容そのものだけでなく、研究を通して培われた能力や、研究に取り組む姿勢なども評価しています。

研究内容の書き方:基本構成とポイント

大学院生向けにピンクのクマが研究内容の書き方を解説するイラスト。研究テーマ、背景・目的、方法、結果・考察、結論・今後の展望、企業への貢献という6つの構成要素をわかりやすく図解している。

基本構成

研究内容を記述する際の基本的な構成は、以下のようになります。

  • 研究テーマ:簡潔かつ具体的に記述
  • 背景・目的:研究の背景、解決したい課題
  • 方法:研究のアプローチ、実験・分析方法
  • 結果・考察:得られた結果、そこから言えること
  • 結論・今後の展望:研究のまとめ、今後の課題や応用可能性
  • 企業への貢献:自身の研究内容が企業にどう活かせるか

この構成に沿って、各項目を具体的に記述していくことで、論理的でわかりやすい説明になります。

各項目のポイント

  • 研究テーマ:専門用語は避け、一般の方にもわかる言葉で記述します。研究内容を一言で表すキーワードを盛り込むと、印象に残りやすくなります。
  • 背景・目的:研究の背景にある社会的な課題や、解決したい問題を明確に記述します。なぜこの研究が必要なのか、その意義を伝えます。
  • 方法:どのようなアプローチで研究を行ったのか、具体的な方法を記述します。専門的な知識がない人にも理解できるように、図やイラストを用いるのも効果的です。
  • 結果・考察:研究から得られた結果と、そこから言えることを客観的に記述します。結果だけでなく、その結果が意味することを考察することで、自身の分析力や思考力をアピールできます。
  • 結論・今後の展望:研究の成果をまとめ、今後の展望や、研究が発展していく方向性を示します。研究の意義や将来性をアピールしましょう。
  • 企業への貢献:自身の研究内容が、志望する企業でどのように活かせるかを具体的に記述します。企業の事業内容や課題と結びつけて説明することで、入社意欲と貢献意欲を示すことができます。

3. 研究内容の書き方と例文

履歴書(研究概要)

履歴書では、研究内容を簡潔にまとめる必要があります。文字数の制限がある場合が多いので、要点を絞って記述しましょう。

研究内容の書き方例(履歴書)

研究テーマ: ○○における△△の効率化に関する研究

(背景・目的)従来の○○技術では、△△という課題があり、生産性の低下を招いていた。本研究では、新しい□□理論を応用することで、この課題を解決し、効率化を目指した。

(方法): □□法を用いて、○○のプロセスをモデル化し、シミュレーションを行った。また、実験により、シミュレーション結果の妥当性を検証した。

(結果・考察:)シミュレーションおよび実験の結果、提案手法を用いることで、△△を〇〇%削減できることが示された。これにより、生産性が□□%向上することが期待できる。

履歴書における研究内容の書き方のポイントは下記のとおりです。

  • 研究テーマは、一目で内容がわかるように簡潔に記述する。
  • 背景・目的は、研究の必要性を明確に示す。
  • 方法、結果・考察は、具体的な数値や成果を盛り込む。

一般的に、履歴書全体でA4一枚程度にまとめることが望ましいとされています。 そのため、研究概要に割けるスペースは限られており、研究内容を100~200字程度にまとめるのが適切でしょう。 上記の例文程度に、研究テーマ、背景・目的、方法、結果・考察の要点を絞り、簡潔に記述してください。

エントリーシート(研究内容の詳細)

企業によってはエントリシートに、研究内容をより詳細に記述することができます。研究のプロセスや、直面した課題、解決策などを具体的に記述することで、自身の能力をアピールしましょう。

研究内容の書き方例(エントリーシート)

本研究では、○○における△△の効率化を目指し、新しい□□理論を応用した○○の効率化手法を提案しました。従来の○○技術では△△が課題でしたが、□□理論を応用することで解決を図りました。

研究では、○○のプロセスをモデル化し、シミュレーション環境を構築。□□法でプロセス各段階の△△発生メカニズムを分析し、シミュレーション結果に基づき新たな制御手法を考案、実験で有効性を検証しました。

その結果、提案手法により△△の発生量を平均〇〇%削減でき、○○の生産性を□□%向上させることができました。統計的な分析でも、提案手法による△△削減効果が有意であることが示されました。

本研究は、○○における△△の課題を解決し、生産性を向上させるための新たな手法を提案するもので、貴社の○○事業において、生産性向上、コスト削減に貢献できると考えています。

エントリーシート(400文字)における研究内容の書き方のポイントは下記のとおりです。

  • 研究概要では、研究の全体像を簡潔に記述する。
  • 研究の背景・目的では、研究の必要性と意義を具体的に示す。
  • 研究の方法では、実験・分析の手順を詳細に記述し、専門性を示す。
  • 研究の結果・考察では、具体的なデータや数値を提示し、客観性を示す。
  • 結論・今後の展望では、研究の成果と将来性をアピールする。
  • 企業への貢献では、研究内容が企業の事業にどう活かせるかを具体的に記述する。

企業によってはエントリーシートにかける文字数が多く、詳細に書ける場合もありますが、長すぎるのは避けるべきです。一般的には400文字~800文字程度にまとめることが適切でしょう。上記の例文を参考に企業の方へわかりやすく書いてみてください。

自己PR

自己PRでは、研究活動を通して培った能力や経験をアピールできます。研究内容だけでなく、研究に取り組む姿勢や、そこから得られた学びを記述することが重要です。自己PRでも研究内容を使うことで自分をアピールできるので、自己PRに書くことがない大学院生は研究内容を書きましょう。

自己PRで研究について書く場合の例

私の強みは、粘り強く課題解決に取り組む力です。大学院での研究活動において、実験がうまくいかない時期が長く続きましたが、様々な文献を調査し、実験方法を改善することで、最終的に目標としていた成果を出すことができました。この経験を通して、困難な状況でも諦めずに解決策を模索する力を身につけることができました。

また、研究活動を通して、論理的思考力と分析力も身につけることができました。実験データを分析する際には、様々な角度からデータを検証し、そこから本質的な意味を導き出すことを心がけました。その結果、複雑な現象を客観的に捉え、的確な判断を下すことができるようになりました。

これらの経験から、貴社に入社後も、様々な課題に直面すると思いますが、これまでの研究活動で培った力を活かして、粘り強く解決に取り組み、貴社の発展に貢献したいと考えております。

自己PRで研究内容を書く場合のポイントは下記のとおりです。

  • 研究活動を通して得られた、自身の強みを具体的に記述する。
  • 具体的なエピソードを交えながら、自身の能力を示す。
  • 企業に入社後、その能力をどのように活かせるかを記述する。

自己PRの文字数は、企業によって異なりますが、一般的には200~400字程度が目安となります。 自身の強みを、具体的なエピソードを交えながら、簡潔に記述してください。

研究内容を魅力的に見せるための工夫

研究内容を魅力的に見せるための工夫を、ピンクのクマがイラストでわかりやすく解説。専門用語の言い換え、図やグラフの活用、ストーリー性、具体的な数値や成果の提示といった4つのポイントを紹介している。

専門用語の言い換え

研究内容を記述する際、専門用語はできるだけ避け、わかりやすい言葉に言い換えるように心がけましょう。どうしても必要な場合は、簡単な説明を補足すると、理解度が向上します。

例:

  • 元の文章: 「本研究では、○○化合物の触媒反応機構を、密度汎関数法(DFT)を用いて解析した。」
  • 言い換え後: 「本研究では、○○化合物の触媒反応の仕組みを、コンピューターシミュレーションを用いて解析しました。」
    • 解説: 「触媒反応機構」を「触媒反応の仕組み」に、「密度汎関数法(DFT)」を「コンピューターシミュレーション」に言い換えることで、専門知識がない読者にも理解しやすくなりました。
  • 元の文章: 「○○系の超伝導体におけるクーパー対の対称性を調べた。」
  • 言い換え後: 「○○系の超伝導体で、電子が対になって動く際の、その対の性質を調べた。」
    • 解説: 「クーパー対の対称性」を「電子が対になって動く際の、その対の性質」と言い換えることで、物理学の専門用語を避けて説明しています。
  • 元の文章: 「本研究では、CRISPR-Cas9システムを用いて、特定の遺伝子をノックアウトした。」
  • 言い換え後: 「本研究では、CRISPR-Cas9という技術を用いて、特定の遺伝子の機能を停止させた。」
    • 解説: 「ノックアウト」という専門用語を「機能を停止させる」と言い換えることで、生物学の専門知識がない読者にも理解しやすくなりました

図やグラフの活用

研究内容を視覚的に伝えるために、図やグラフを積極的に活用しましょう。実験データやシミュレーション結果などを図やグラフで示すことで、文章だけでは伝わりにくい情報も、効果的に伝えることができます。

ストーリー性の意識

研究の背景、目的、方法、結果、結論という流れを、一つのストーリーとして記述することを意識しましょう。研究に取り組む中で、どのような課題があり、それをどのように解決していったのか、その過程をドラマチックに伝えることで、読み手の興味を引きつけ、印象に残る説明になります。

具体的な数字・成果の提示

研究の成果を示す際には、「〇〇%向上」「△△を□□削減」など、具体的な数字を提示するようにしましょう。具体的な数字があることで、研究の成果が客観的に伝わり、説得力が増します。

研究内容以外の強みもアピールする

研究内容だけでなく、研究活動を通して培った、以下のような能力もアピールしましょう。

  • コミュニケーション能力: 研究室のメンバーや、他分野の研究者とのディスカッションを通して培われた、円滑なコミュニケーション能力
  • プレゼンテーション能力: 学会や研究発表会での発表を通して培われた、わかりやすく説明する能力
  • 語学力: 英語の論文を読んだり、国際学会で発表したりする中で身につけた語学力
  • マネジメント能力: 研究プロジェクトのリーダーとして、メンバーをまとめ、計画を遂行する中で培われたマネジメント能力

これらの能力は、企業でも高く評価されるため、積極的にアピールしましょう。

企業選びのポイント

自身の研究内容を活かせる企業を選ぶことも重要です。企業の事業内容や研究開発テーマを事前に調べ、自身の研究がどのように貢献できるかを具体的にイメージしておきましょう。

  • 企業の事業内容: 企業の主力事業や、今後の事業展開を把握する。
  • 研究開発テーマ: 企業がどのような研究開発に取り組んでいるのかを調べる。
  • 求める人物像: 企業がどのような人材を求めているのかを把握し、自身の強みとマッチするかどうかを検討する。

企業選びの軸を明確にすることで、入社後のミスマッチを防ぎ、自身の能力を最大限に活かせる企業を見つけることができます。

大学院生が就職活動で後悔しないためのアドバイス

ピンクのクマが学生向けに就職活動のアドバイスを解説するイラスト。早めの準備、OB訪問、キャリアセンターの活用、就活サイトの利用について水色の背景にわかりやすく図解している。

早めの準備

就職活動は、早めに準備を始めることが重要です。研究活動と並行して行うことになるため、スケジュール管理をしっかり行い、余裕をもって準備を進めましょう。 大学院生の場合、修士1年の秋頃から就職活動を意識し始め、情報収集や自己分析を始めるのが一般的です。修士2年になると、本格的に企業説明会や選考が始まるため、それまでに必要な準備を済ませておく必要があります。

具体的な準備としては、以下のものが挙げられます。

  • 自己分析: 自身の強みや弱み、価値観、キャリアプランなどを明確にする。
  • 業界・企業研究: 興味のある業界や企業について、事業内容、社風、待遇などを詳しく調べる。
  • ES作成: 履歴書や職務経歴書、自己PR、志望動機などの応募書類を作成する。
  • 面接対策: 面接でよく聞かれる質問を想定し、回答を準備する。模擬面接なども活用して、実践的な練習を行う。
  • OB/OG訪問: 実際に働いている人の話を聞き、企業理解を深める。

OB・OG訪問

実際に企業で働いている大学院のOB・OGに話を聞くことは、企業選びの参考になります。研究内容がどのように活かせるのか、職場の雰囲気や働き方など、具体的な情報を得ることで、入社後のイメージを具体化することができます

OB/OG訪問では、以下のような質問をすると、より有益な情報を得ることができます。

  • 現在の仕事内容について: 具体的な業務内容や、一日のスケジュールなどを質問することで、入社後の働き方をイメージしやすくなります。
  • 仕事のやりがい・大変さについて: 仕事の魅力を聞くことで、モチベーションを高めることができます。また、大変な部分も聞いておくことで、入社後のギャップを減らすことができます。
  • 職場の雰囲気について: 職場の人間関係や、社風について質問することで、自分に合った職場かどうかを判断する材料になります。
  • 入社前後のギャップについて: 入社前に抱いていたイメージと、実際に入社してからの違いを聞くことで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
  • 学生時代にやっておいてよかったこと: 学生時代にどのような経験が役に立っているかを聞くことで、今後の学生生活の参考になります。

キャリアセンターの活用

大学のキャリアセンターでは、ESの添削や面接対策など、様々な就職支援を受けることができます。積極的に活用し、万全の体制で就職活動に臨みましょう。

大学のキャリアセンターでは、ESの添削や模擬面接、求人情報の提供など、就職活動全般にわたるサポートを受けることができます。 具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。

  • ES添削: 専門のスタッフが、ESの内容や表現、構成などを丁寧にチェックし、より魅力的なESにするためのアドバイスをしてくれます。
  • 面接対策: 面接官の視点から、話し方やマナー、回答内容などを指導してくれます。模擬面接を繰り返すことで、本番の面接でも落ち着いて対応できるようになります。
  • 求人情報の提供: 一般的な就職サイトには掲載されていない、大学独自の求人情報を得ることができます。
  • OB・OG紹介: 志望する企業や業界で活躍するOB・OGを紹介してもらい、直接話を聞くことができます。
  • 各種講座・セミナー: 就職活動に必要な知識やスキルを習得するための、様々な講座やセミナーが開催されています。

逆求人サイトの活用

逆求人サイトに自身のプロフィールや研究内容を登録することで、企業からスカウトを受けられる可能性があります。 特に、LabBaseやOfferBoxなどの理系大学院生に特化したサイトを活用することで、専門知識を求める企業と効率的にマッチングでき、大企業から内定を得るチャンスも広がります。

逆求人サイトは、従来の就職活動とは異なり、学生が企業からのスカウトを待つというスタイルが特徴です。理系大学院生にとって、逆求人サイトには以下のようなメリットがあります。

  • 効率的なマッチング: 自身の研究内容やスキルを詳細に登録することで、それらを求めている企業から直接アプローチを受けることができます。これにより、ミスマッチを防ぎ、効率的に就職活動を進めることができます。
  • 選択肢の拡大: 自分では見つけられなかった企業や、意外な分野の企業から声がかかることがあります。これにより、新たな選択肢を発見し、視野を広げることができます。
  • 自己アピールの機会: 登録したプロフィールや研究内容を見た企業からスカウトが来るため、自分の強みや専門性を効果的にアピールできます。
  • 選考の優位性: 企業側が学生に興味を持ってアプローチするため、通常の選考ルートよりも有利に進む場合があります。
  • 企業との深い繋がり: 逆求人サイトを通じて、企業担当者と早期からコミュニケーションを取ることができるため、企業理解を深め、入社後のイメージを具体化しやすくなります。
  • 自己肯定感の向上: 企業からスカウトを受けるという経験は、自身の能力や市場価値を客観的に認識する機会となり、自己肯定感の向上にも繋がります。

筆者が大学院生時代に実際使って良かったサービスを下記の記事でご紹介しています。もし気になる人は読んでみてください。

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まとめ

大学院生の就職活動において、自身の研究内容を効果的にアピールすることは、非常に重要です。この記事で解説したポイントや例文を参考に、自身の研究内容を魅力的に伝え、企業に貢献できる人材であることをアピールしてください。

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